花懸り
4つの花笠を桜に見立て、3匹の獅子が花見にでかけ、その美しさに酔って花を散らさんばかりに楽しく遊ぶ姿を演じます。獅子舞の基本的な所作を中心としており、獅子を始めた者が最初に舞う芝です。3匹は女獅子、小太夫、大太夫の順に桜の花、胴、根を見る所作を行います。あまり長くはありませんが、休みなく舞うため、見た目より体力を使います。ササラの初心者もこの芝から始めます。
4つの花笠の周囲を3回まわった後、女獅子が先導して花の中に分け入ります。花の中に入る時、獅子の足づかいの最も基本となる「ササコ」を踏みます。ササコとは、腰を落とした状態で、足をクロスさせるように2歩踏み、最後の1歩で両足を広げ一層深く腰を落とす型をいいます。この後何か所も出てきますので、注目していてください。ササコにつづいて、「さあ、入るぞ」と、頭を下げバチを獅子の頭上まで振り上げて幕をくぐるような「ヒッカブリ」と呼ばれる所作も見どころです。その他の芝でもササコやヒッカブリは多く使われます。
ササラの中に入ってからは、最初は花笠の花を見ます。4つの花笠のうち3つを見終わると、ササラの外に出ます。女獅子が出ると同時に小太夫が入り、大太夫も同様に続きます。ササラの外に出てからは、右回りに花見をしながら下手に戻ります。
以後2回、花の中に入ります。2回目は花の胴がしっかりしているかを、3回目は根張りがよいかを見ます。3匹の獅子のうちいつも1匹が花の中にいるように注意しなければなりません。かつてはどの位置からでもササラの中へ入ってよかったようですが*4、現在は必ず下手から入ります。3匹が根元を見終わり、最後に大太夫が花笠の中から出たところでチラシが終ります。
謡
(B) これのおにはへ 来て見れば こがねこぐさが あしにからまる
(A) みずゆえに おくのくれ木が 流れ来て いまはよしなの 下妻の橋
(A) 下妻の 橋にかゝるも えんでこそ 後に残りし うらきこひしさ