三拍子

国家安泰、五穀豊穣、氏子繁栄を祈る舞です。3匹の獅子が楽しく遊び、疲れて眠りますが、再び元気よく遊びます。この芝は、獅子がバチを打ち鳴らしたり、謡と謡との間に獅子とササラが特徴ある所作があるなど、他の芝とはずいぶん異なった構成になっています。女獅子をリード役に3匹の獅子は常に同じ動きをするため、いつも呼吸をあわせることが大切な舞です。ササラは上級者が演じます。

「三拍子」の出端はこの芝だけのものです。「トーッピーピーヒャロ」と始まります。獅子は頭上高くバチを上げて、柏手を打つかのようにカチカチと打ちならしながら前に少しずつ出てきます。3笛繰り返すうちに獅子とササラは中央に進み出て、チラシに移ります。

チラシでは、3匹の獅子がササラの周囲を楽しそうに、また調子よくササコを踏みながら回ります。ササラのまわりを3周したところで、チラシが終わります。

謡(C) これのお庭の 牡丹の枝を ひと枝たごめて 腰を休めろ

謡の後、「いねむり」と呼ばれる所作があります。「トーヒャリコ トーヒャリコ」と子守歌のような静かな笛の音にあわせて、獅子はササラの中心にむしろを敷いて座り「いねむり」を演じ、ササラも腰をおろして、静々とすります。ササラにとって足腰が強くないと厳しい場面です。

謡(A) 磯村の 宿のに 目をくれて ゐるにやられず いざやたたいな

「いざやたたいな」と謡が終わると同時に獅子・ササラは立ち上がり、「まわりっこ」と呼ばれる所作が始まります。3匹の獅子はササラの中心でケンケンをするかのように回転し、ササラは獅子の周囲をぐるぐると四角を描くように移動します。獅子舞全体を通じてササラの最大の見せ場となります。ササラは大きく横歩きし、コーナーではスリザサラをかつぎ、振り袖をひるがえして回り込んでいきます。

謡(A) 我国は 雨がるげで 雲が立つ おいとまして いざやともだち

3つ目の謡が終ると、「岡崎」となり終了します。