棹懸り

3匹の獅子が仲良く花見をしながら進んでいくと、行く手に川(川に見立てた竹棹)が現れます。まず女獅子が浅瀬を見つけて先に渡り、それに続こうとする小太夫、大太夫を先導して順に向う岸に渡すという内容の芝です。この芝では3匹の所作の違いに注目してください。同じ動きでも、女獅子は細かく、小太夫は中くらいに、大太夫は大きな振りをします。獅子頭の重さが女獅子、小太夫、大太夫の順に重くなっていることからも、こうした振りの違いが出てきます。

3匹の獅子が仲良く山で花見をしている場面から始まります。花に遊びながら山を進むと、庭場の中央に川に見立てた竹棹が下ろされ、行く手をさえぎります。川ではなく倒木との説もあります。最初に女獅子が浅瀬を探し回り、やっと探し当てて向う岸に渡ります。この場面で獅子が棹に懸っていくわけですが、棹に懸かる獅子と棹の持ち手とのかけひきが見ものです。次に女獅子は小太夫を先導して、川を渡します。2匹が前後に重なりながら竹を往復する所作も重要な見どころとなります。小太夫が渡り終えると、女獅子は同じように大太夫を先導し、向う岸に渡します。3匹とも無事渡り終え、3匹で喜びの舞を舞って、チラシが終わります。女獅子役は、ほとんど休みなく長時間にわたって動くため、全芝の中で最もつらい芝となります。

(C) 廻れや車 廻れや車 早くりて 関にとまるな
(B) これのかたの 殿様は いまがかりと うちみえて こがねしだで つぼをながめる
(A) やつづれが おびれろへて 行く時は さてもかたは 名所なるかな